建設業界の働き方改革。工事現場は休みが少なくて残業が多いのか!? 

タイトル通りの内容で始めます。


一般的に建設業のイメージは残業が多い、休みが少ない、というものだと思われます。

働くうえで、本当に残業が多くて大変な業界なのか、そもそもお休みを取ることが可能なのかは気になることだと思うので……建設会社に勤めている者として、ここ十年くらいのリアルな実情をお届けします。

建設業で働こうかな~と思っている方は、一読すると、判断の足しになるかもしれません。


以下のトピックに従って進めます。


1.建設業界の現状

2.働き方改革

3.週休二日の推進

4.今後の建設業界について



1.建設業界の現状



ちょっと手持ちの資料が見当たらなかったので、R3年の資料から引用しますが、現状、建設業の世界は高齢化が進んでおり、建設労働者の4分の1以上が60歳以上となっており、29歳以下は1割程度となっています。



そもそも建設業に従事する人が減っている中で、若い人も入ってこないため、業界全体として高齢化が進んでいるわけです。


この表を見ると、個人的にはちょっと意外でしたが、バブルがはじけた後からしばらくの間、建設業への就労者の流入がおこっています。

あわせて、建設業に占める29歳以下の就業者の割合も上昇しています。


もしかしたら、バブル崩壊後の不景気で就職難になった若者が建設業へと流れた可能性もあるのかもしれませんね。

(これについては他業種との比較が必要なので、何とも言えませんが……そこまでは調べてないです)


バブル崩壊後の停滞は30年以上続いたので、建設業への就労者数も横ばいから微減に、若い入職者はひたすら減少傾向が続いています。


2000年代初頭から徐々に景気が上向き始めたものの、そうなると、わざわざ他業種よりも賃金が低い傾向にある建設業を選んで就職する人は少ないため、その結果が、若年就労者が一割程度の現状というわけですね。


バブル崩壊直後に若かった人たちも、30年も経てば年をとるので、若い就労者が入ってこなければ、高齢化率が上がるのは当然のことでしょう。



若年労働者が少ないという傾向は10年近く続いています。

そしてその間、建設業界はずっと人手不足を叫び続けています。


叫んでも埒が明かないので、建設業で働いてくれる人がもっと増えるような取り組みが、じわじわ始まったわけです。




2.働き方改革



最初の話題に戻ってきますが、昨今のワークライフバランスを重視する若者たちを取り込むために、建設業界も働きやすさを重視するようになってきました。


バブルの時代は働くだけ働いて、その日のうちにパーッと金を使っちまったんだよーという話を聞かされたこともありますが、もはやそういう時代ではありません。


お金がじゃぶじゃぶしていた時代は終了した、というわけで、建設業も日銭を稼ぐのではなく、技能者を社会保険に入れて、きちんと雇用して、労働時間も残業時間もきっちり管理していきましょう、という号令がされました。



ここにきて、そもそも、なぜ建設業は全業種の中でも労働時間が長いのか、という疑問が生じると思います。

これは実際に建設業に身を置いてみないと想像がつかないでしょうが、大きな要因としては、以下の3点かなと思っています。


*そもそも工期が短い

*仕事現場が屋外であることが多く、天気に左右される。

*天気のせいで工程通りに仕事が進まなかった結果、その分を取り戻すために夜遅くまで、土曜も日曜も関係なく働く


こんな感じで、負のスパイラルが続きます。


雨が降ると、作業ができないから休めるぞ~と見せかけて、実際は、工期に間に合うように、晴れの日に辻褄合わせをする都合上、建設業は忙しくて残業が多くて、休みが少ないというイメージが定着したのだろうと思います。

現状、4週4休以下で働く人がいるのも事実です。



この現状を何とかするために始まった建設業の働き方改革が、品確法で改定された工期の適正化や施工時期の平準化、現場の処遇改善などです。


施工時期の平準化はわかりやすいと思います。

昔は年度末の3月になると、道路工事などをよくやっていました。

官庁発注の建設工事は、3月末が工期末であることが非常に多いのです。


けれど、これは少し改善されてきました。

年度末に工事が集中するのではなく、一年を通して、工事が行われるようになってきていると思いますし、全国的にも、施工時期の平準化の取組みが行われています。



まぁ、まだまだ時間はかかりそうですね。



そして、適正な工期での発注についてですが、現在、著しく短い工期での発注は禁止されています。

違反した場合は、国土交通大臣による勧告・公表が可能になりました。



工期が短いと、何かがあったときに、どうしても労働者の働く時間が長くなってしまうので、工期の適正化は非常に良い法案だと思います。

施工管理者は、限られた工期の中で、労働者の休みを確保しつつ、雨が降って作業が遅れる場合でも工期末には完成させる、という工程を組まなければいけないので、長めの工期をとってもらえることが大事です。


工期が長いと、その分経費がかさみ、労務費を圧迫して賃金が伸び悩むという別問題もあるのですが……今回は、働き方や休日、残業時間を話題にしているので、これはまたの機会にしましょう。

現状、工期の適正化を法規制したのは、大きな一歩です。



また、現場の処遇改善についても、建設労働者は日雇いのイメージがあるかもしれませんが、ここ十数年の流れで、社会保険に入っている技能者の数は増えてきています。

というのも、社会保険に入っていないと、現場に入場できなくなっているのです。


ゼネコン主導の大きな現場と官庁発注工事からこの流れが来ているので、民間企業発注の現場や地方の中小企業まで浸透するには時間がかかるでしょうが、建設業界も前進しています。


今後の取り組みに期待したいですね。


ちなみに弊社には、施工管理以外の現場作業員さん(技能工のことですね)もいるのですが、一連の流れにのっとりまして、作業員さんも社会保険に入っています。


現場作業員さん、随時募集中です。




3.週休二日の推進



さて、長々、建設業界を取り巻く状況を書いてきましたが、実際のところ、建設業界は週休二日なのか。

労働時間や残業時間は長いのか、ということについてですが……他業種に比べると、やはり長いです。


残業時間の罰則付き規制が建設業界で始まったのは、R6年からです。(他業種よりも、猶予期間がありました)


なので、少しずつ改善してきてはいますが、長いことは長いです。


ちょっと古いですが、週休二日への取組は、資料がありました。



官庁工事については、発注者主導で週休二日の工事が順調に増えてきています。

民間工事も、大手ゼネコンの現場は週休二日を取り入れるのが早かったですが、まだまだ……というのが体感としてあります。

でも、こうしてみると、建設業界も意外と頑張っているのでは!? と思います。



ただ、このままでは工事が終わらない! という事態になったとき、現場の作業員を増やすという対応以外に、休日出勤や早出残業、残業で帳尻を合わせるということは行われています。

これは、まぁ、仕方ない部分もあると思います。


その他の業種でも納期に間に合わないとなれば、残業したり休日出勤もありえるので、建設業だけに限定されたことではないでしょう。


納期に間に合わないけど定時なので帰りまーす、を繰り返したら、信用を失ってしまうのは、全ての業界に言えることなので。


建設業界だけが、納期のために残業をしているわけではない、ということは記載しておきます。



また、官庁工事は、成績がつけられています。

この工事は80点でした、とか、75点でした、とか、評価されているのです。

この成績評価で、4週8休の現場は加点されます。

ちなみに官庁工事においては、良い成績をとった現場は表彰されます。



施工会社はよい成績を取りたいと思っているので、そういった面からも、現場の休みを増やす施策として、取り入れられているのです。


こうやって見ると、建設業界も結構頑張っている! と思えてきませんか?



ちなみに、弊社も、わりと頑張っている方では? と思っています。

現状、全体工事に占める官庁工事の割合が多めで、官庁工事の現場は週休二日が採用されています。

土曜日に働くの? と確認すると、昔は「働く」と返事が返ってきましたが、現在は「休み」と返ってくるので、休んでます。


工事が終わったので、1週間くらい休みます~とリフレッシュ休暇を取る人もいますし、夏の祭りに出るので、休みます、という人もいるし……事務員はそれを羨ましいな……と思いながら見ていますよ。

工事部の休みについては、自由度の高い会社だと思います。

事務員は病欠でもない限り、1週間休んだりしませんが、工事部は1週間バカンスしても大丈夫だし、有給消化を推奨しています。

取得義務日数に満たない人には圧力をかけますからね、私が。


いつでも社員募集中です!



宣伝はこの程度にして、本題に戻りましょう。



建設会社に勤める者としては、10年前は本当に、社内に工事部はいないなーと思ったり、あの人たち、やたらと遅くまで残業しているな……とか思っていたのですが、最近は、工事部、社内にいてちょっと邪魔……とは言わないけど、よく目撃するようになったので、昔より休みは増えているでしょう。

残業も、昔と比べれば、してないです。


昔は、あの人たち常に残業しているな……と思っていたのですが、最近はもう、検査前とか工期末の忙しいときくらいしか、退勤時刻は遅くなっていないし、暇な時期は事務員より早く帰っているときもあるので、思ったよりきつくないのでは? と思います。


10年前よりだいぶ働きやすくなったと言えるでしょう。




4.今後の建設業界について


建設業界はこの10年間でだいぶ様変わりしてきました。

人々のイメージは未だに、残業が多い、休みが少ない、大変だ! というものでしょうが、実際に働いてみれば、思ったよりも平気そう……と感じる職場になってきたと思います。


会社にもよるでしょうが、建設業界は意外と、長期の休みが取れる職場です。

弊社については、工事がない時期に、1週間お休みして、ロングバケーションを楽しむ人もいるし、わりとそれを推奨しているので、長く休む人もいます。



長い工事が終わった後、次の工事が始まるまでの間に、長めに休暇をとってリフレッシュする、という、インターバル制度に似た休暇をとっている会社もあるので、一概に、建設業界は働きすぎている、とは言えないでしょう。

なので、休暇がどれほど取れるか、どれほど残業時間を削減できるか、などは、会社によりけりですが、現在の建設業界は皆さんのイメージよりはずっと、働きやすくなっているはずです。



建設業界の今後を考えると、民間、官庁共に、新規の大型投資は先細りの可能性が否めないですが、日本のインフラを支えていることは間違いないです。

整備された道路や、安全な上水道、下水道など、高度経済成長時に、日本中に張り巡らされたインフラは長大です。


日本の人口減を考えれば、このインフラ維持にも取捨選択が行われるでしょうが、インフラ維持に回すお金を惜しめば、陥没事故や漏水などが発生します。

人々の生活のために、惜しんではいけない経費というのが確かに存在していて、インフラ維持はそれにあたるでしょう。



たとえ新規の投資がなくなったとしても、地域のインフラを支えている職業として、建設業が消えることは無いでしょう。


もしも大災害が発生したとき、一番最初に現場に入るのは建設業者(災害で道路が瓦礫などで埋もれてしまった場合、「道路啓開」というのを行うのですが、これをするのが建設業者なのです)ですし、日本は非常に自然災害が多い国なので、そういった意味でも、建設労働者の需要がなくなることは無いと思います。


ちなみに、雪国で除雪を行っているのも、建設業者です。

←この重機を運転している。他にもあるけど。


日本は世界でも有数の豪雪地帯なんですよね。調べてみると、世界と比較しても、びっくりするほど日本は積雪量が多いですよ。

都市部における豪雪ランキングでは、日本が上位を独占しています。




こうやって多方面から考えると、ある意味、建設労働者は安定した職業かもしれません。


大変なことも多いですが、これまでも、これからも、必要とされている職業ということは間違いないでしょう。


そう考えると、なにやら魅力ある職業に感じてきますね。

皆さんにもそう感じてもらえたら、建設会社で働いている一人としては、嬉しい限りです。



某大手ゼネコンの、地図に残る仕事ってフレーズ、素敵ですしね。


地図を見せながら「ここはわしが架けた橋じゃ」とかやりたい人は、建設業で働くことを選択肢の一つに入れてみてください!



弊社でも社員募集中ですので、弊社も選択肢の一つに入れてあげてください。


では、最後まで閲覧いただきまして、ありがとうございました。